福岡市文化賞、市民文化活動功労賞受賞者の紹介

安部龍太郎(あべ・りゅうたろう)

1955年生まれ、61歳。福岡県八女市出身。国立久留米高専を卒業して小説家を目指して状況。東京都大田区役所、図書館司書勤務などを経ながら小説を執筆した。「師直の恋」で小説新潮新人賞を受賞して作家デビュー。1988年「血の日本史」で注目を集め、2013年「等伯」で直木賞、西日本新聞文化賞を受けた。福岡市での活動としては、第6回福岡文化連盟祭りの舞台劇「宗湛」、第8回の「望東尼」を監修、第10回の「姫神」では原作を執筆した。目下、長編小節「家康」を執筆している。受賞に際しては「福岡に来ると必ずラーメンとうどんを食べる。そんな親しみのある福岡市から暖かい賞をいただいたが、これを励みにさらに頑張りたい。尊敬する司馬遼太郎さんは72歳で亡くなられたが、自分も72歳を目標に現役で執筆活動を続けられるように精進したいと」語った。

 阿部龍太郎さん

 渡辺鈴士(わたなべ・れいし)

1950年生まれ、66歳。大分県日出町出身。長崎市育ち。国際商科大学(東京)在学中から尺八の人間国宝、青木鈴慕氏に師事した。「芸は人のまねをすること」というのが母の口癖だったといい「最高の人に習いなさい」とも言われたという。古典から現代曲まで数多いレパートリーを持ち、ジャンルを越えたミュージシャンとの共演歴を持つ。NHK番組「邦楽のひととき」に毎年出演のほか、九州大学非常勤講師や民間企業での尺八指導にも定評がある。釜山市立国楽管弦楽団日韓親善演奏会、古典芸能プロ集団「∞座」(むげんざ)の立ち上げに参画した。幅広い活動で邦楽の普及、後進の指導にあたっている。妻の渡辺シズ氏(当会会員)は箏曲の演奏家。夫婦によるコラボ演奏も多い。

    渡辺鈴士さん

河原久子(かわはら・ひさこ)

1938年生まれ、78歳。母・森田定子氏に師事し、後に東京にて宮城宗家の教えを受けた。生田流箏曲宮城社大師範として箏曲鶯絃会主宰。伝統箏曲の研鑽に励みながら、九州交響楽団やポールモーリア管弦楽団とも共演した。朝日カルチャーセンターなどで講師を務めながら、福岡市特別非常勤講師として市内の小中学生に箏の授業を行った。現在は福岡三曲協会顧問。二人の娘さんはプロの箏演奏家として活躍している。記念演奏を終えた河原さんは「このような名誉な賞を受賞して身が引き締まる思いです。この賞に恥じぬよう、今後とも芸の道に精進します」と語った。

  河原久子さん

 

川上玉清(かわかみ・ぎょくせい)

1931年生まれ、85歳。福岡市出身。小原流に入門し、中牟田玉蘭、守下雨江、尾田光秋に師事。西日本華道連盟いけばな展などで活躍した。小原流名誉会員であり、日韓の生け花交流に尽力し、招待作家として韓日親善いけばな展を通じて国際交流に貢献した。長年、本会第三部会理事を務めた。

   川上玉清さん

第1回国際書画展が開催

 福岡アジア美術館

3月16日、福岡市の福岡アジア美術館で第1回国際書画展が始まった。NPO法人日中国際交流センター(代表・姚明氏=第6部会)が主催し、中国青島国際ビエンナーレ組委会、香港美術家協会も共催した。

この日、福岡アジア美術館で開かれたオープニング式典では、何振良・中華人民共和国駐福岡総領事が挨拶。「中日間ではいま国民感情が悪化しているが、こういう活動を通じてフェイス・ツー・フェイスの交流が深まることを願っています」とした。

会場には、伝統的な書、水墨画から日本の現代アートまで幅広い作品が並んだ。この展覧会の世話役を務める姚明氏はこれまでの風景画とは趣向を変えた極めて抽象度の高い墨絵を発表し、自身の新境地を披露した。

「穏やか」が湛える「強靭」
日賀野兼一さんがテンペラ画展

福岡文化連盟会員の日賀野兼一さん=福岡県飯塚市在住=が個展を開いている。福岡市・天神、大丸福岡天神店6階アートギャラリーで21日まで。
日賀野さんは茨城県水戸市の出身。工業デザーナーになりたかったが、美大受験の予備校で最初に石膏デッサンを習った。
 「アグリッパにラボルト。たくさん描きましたねえ」
石膏デッサン不要論がかまびすしい現代の美術界だが、日賀野さんはそこからファイン・アートに心を開かれていった。テンペラ画との出会いは九州産業大学2年のころ。フランス、イタリアを旅し美術館で見たボッチチェリなどの絵に震えるような感動を覚えた。
 「五百年も前の絵が傷みもせず美しい色彩に輝いていました。自分はこれに賭けようと思いました」
 日賀野さんの画面は一般のテンペラのようなツルツルした質感ではない。独自の技法を求めて模索し、キャンバスに白の油絵具で地塗りした上からテンペラで描くという手法をあみ出した。それがザラザラとした砂の上に描いたような質感を与えている。
 光化学スモッグに汚れた東京の空を飛行機から見て「こんな世の中はどうにかしなければならない」と感じた日賀野さんは、黒い煙を吐く工場の煙突を描いて工業社会を批判した。だが反応は厳しかった。
 「こんな汚い絵は見たくないと言われてしまいました」
 発想を逆転させ、未来に残すべきもの、美しいものを描くようになった。今回個展に出品した「桜の華」「ベネチアの光彩」「浜辺からの音色」といった作品群は一見バラバラのようだが「次代に残したいもの」という点で繋がっている。
画家の個性といえば何を描くかが全てであると考えがちだが日賀野さんの場合は違う。深みのある穏やかなマチエルと鮮やかな色彩がそのまま「何を描きたいのか」に重なる。その意味で、淡く儚いように見える画面は実は強靭なのである。穏やかなのに強靭――。形容矛盾のようだが、それがこの画家の個性なのである。(井)

第43回九州芸術祭文学賞佳作に宮崎の曾原さん!

(財)九州文化協会主催の九州芸術祭文学賞において
宮崎市の蘇原紀子さんに佳作

第43回九州芸術祭文学賞((財)九州文化協会主催)の最終選考結果が1月22日(金)発表され、宮崎市清武町の小学校教諭、曽原紀子さん(50)の「青いうぶ声」が佳作に選ばれた。

最優秀作は該当なし。表彰式は3月18日、宮崎市の宮崎観光ホテルであり、作品は「文学界」4月号に掲載される予定。

応募総数は250編。九州・沖縄8県と3政令都市から選ばれた地区優秀作11編から最終選考された。

「青いうぶ声」は過疎化が進む離島が舞台。助産師として働き遠してきた90歳の女性がかつての記憶をたどり、今現在の問題とも向き合いながら“生”の意味を考えていく。「命のつながりを書く気構えに好感を覚える」(秋山氏)など命を取り上げる主人公に不妊の孫娘を絡め、心地よく読んでもらおうと意識している創作態度が評価された。

表彰式は3月18日(月)午後1時から、宮崎市の宮崎観光ホテル(宮崎市松山1-1-1)で行われる。